LIMOはお金の情報格差を埋め、読者が次の一歩を進めるメディアでありたい
「LIMO」事業責任者が語る“くらしとお金の課題解決”への道
私たちが日々生活をする上で、「お金」は欠かせない存在です。おそらくはどんな社会活動であってもお金は必ず付いてまわるものであり、それにまつわる悩みは誰もが直面するテーマだと言えます。
「金融の力で、安心を届ける。」をミッションに掲げているのが、株式会社モニクルリサーチ(旧:株式会社ナビゲータープラットフォーム)です。当社では、くらしに根ざした「お金」の情報をもっと身近に、そしてもっと分かりやすく理解してもらうために「LIMO(リーモ)」という経済メディアを展開しており、既存の経済メディアの読者層に限らない多様なユーザーに愛読いただいています。
具体的にどんな思想でメディアを展開しており、また会社として今後どのようなチャレンジを行っていく予定なのか。今回は、モニクルリサーチの共同創業者(代表取締役)でありLIMOのコンテンツマネージャー/統括ディレクターでもある泉田良輔氏に、じっくりと話を聞きました。
※2024年9月4日付で、株式会社ナビゲータープラットフォームは株式会社モニクルリサーチに社名変更いたしました。
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役
泉田 良輔 Ryosuke Izumida
愛媛県出身。慶應義塾大学卒業後、日本生命保険、フィデリティ投信で外国株式や日本株式のポートフォリオマネージャーや証券アナリストとして勤務。2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を共同設立し、代表取締役に就任(現任)。LIMO(リーモ)をはじめとした複数の経済メディアの立ち上げと運営を行う。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程修了。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。東京工業大学大学院非常勤講師。著書に「銀行はこれからどうなるのか」「Google vs トヨタ」「機関投資家だけが知っている『予想』のいらない株式投資法」他。
月間1200万UUの専門家による「ネットの経済ワイドショー」
まずはモニクルリサーチの事業内容について教えてください。
「金融の力で、安心を届ける。」をミッションに掲げ、経済メディア「LIMO」の運営を中心に事業を展開しています。
LIMOは2015年に立ち上げたWebメディアなのですが、右肩上がりに成長しており、現在は月間1200万UU(ユニークユーザー)という国内最大級の経済メディアとなりました。
LIMO リーモ|くらしとお金の経済メディア https://limo.media/
経済・金融を扱うメディアとしては相当多くの方に読まれていますね!
立ち上げ当初は「投信1(ワン)」という名前で、投資信託について学ぶためのコンテンツを中心に配信していました。
ただ、この名前だとどうしても、投資信託に興味のある人以外のアンテナにかかりにくいという問題があり、もっと身近でわかりやすく“くらしとお金”に関する情報をお届けしたいと考えて、2018年の夏にLIFE & MONEYを短縮した「LIMO」という名称へとリニューアルしました。
各ジャンルの専門家が話題のニュースを解説するという「ネットメディアの経済ワイドショー」という目線を据えており、弊社の社名もそういう思いも込めてナビゲータープラットフォーム(現:モニクルリサーチ)とした経緯があります。
大変ありがたいことに、国内の主要ポータルサイト様やニュースキュレーションアプリ様にも配信させていただけていることもあって、多くの方に読んでいただいています。
このロゴのイノシシは、何を意味しているのでしょうか?
これ、イノシシではなく「ブタ」です(笑) 。ブタさんの貯金箱ということで、お金について何か困ったことがあったらLIMOを読んでね、という意味でこのようなデザインにしています。
ああ、なるほど、ブタでしたか(笑) 。実際の掲載記事を拝見してみると、投資関連の記事だけではなく、お買い物や転職、ガーデニングなど、私たち生活者の日常生活にまつわる内容が多く掲載されていますね。老若男女問わず気軽に読めそうです。
おっしゃる通り、一般的な経済メディアだと働きざかりの男性が読者の大半を占めるケースが多く、現に投信1の時代は8割が男性読者でした。でも、現在のLIMOでは読者の約6割が女性になっています。
先ほどのリニューアルのタイミングで、女性にも親しみやすいメディアにしたいよねとなって、そのようなコンテンツを増やす形にしました。毎日20本程度の様々なジャンルの記事を配信するようにしています。
一次情報の目利きと分析を大切にしたい
LIMOのような情報メディアで事業展開している背景を教えてください。どんなことに課題を感じて、今の事業を行っているのでしょうか?
お金にまつわる情報は、とにかく格差が大きいということが一番の課題感です。
先ほど触れなかったのですが、以前「Longine(ロンジン)」という個人投資家向けの情報提供サブスクサービスをやっていました。国内トップクラスの証券アナリストによる日本株の投資アイデアや、産業界・学術界のスペシャリストの知見を、中立の立場から個人投資家へと提供するというものです。
機関投資家と個人投資家では、知っている情報の内容と量に圧倒的な差があるからこそ、ここをとにかく埋めたいという大きな思いがあって展開していました。残念ながら2020年3月をもってサービス自体は終了となりましたが、そこで記事を書いていた執筆者の一部はそのままLIMOで記事制作を行っていて、同じ思いをもって情報発信をしています。
先日、岸田首相が「貯蓄から投資へ」の促進のために「一億総株主」と発言されていましたが、この情報格差の課題が解決しないことには厳しそうですね。
そもそも皆さんの記憶をさかのぼってもらってもよいのですが、小学校・中学校・高校でお金の勉強をしたことがあるかと問われると、今の30〜40代の方はほぼ「NO」と答えるでしょう。そんな中でいきなり資産運用をしろと言われても、なかなか厳しいと思います。だからこそ、LIMOが果たせる役割は大きいのではないかと思っています。
LIMOを運営するにあたって、特に気をつけていることを教えてください。
絶対に聞かれることだと思い、用意してきました。こちらが運営にあたって特に意識していることです。
- 一次情報を大切にしたい
- ニュース解説メディアでありたい
- 難しい話をわかりやすく伝えたい
- 編集者の切り口でやさしく伝えたい
- ほっこりしたニュースも伝えたい
この中でも一番大事にしていることは、しっかりと一次情報を伝えるということです。私自身、証券アナリストを10年ほどやっていたのですが、正確な情報をキャッチして活かすには会社や官公庁が出している情報をチェックし、それに対してしっかりと分析をかけることが不可欠でした。新聞社のスクープのようなものはなく、あくまで公開情報をもとに分析した結果をニュースとして発信しています。
公開情報だと、他の媒体でもオープンになっているので、差別化が難しくないですか?
情報が極限まで整理されている世界であればそうかもしれませんが、今の段階では、ほとんどの公開情報が見過ごされていると考えています。統計情報や会社からの大小様々なニュースを全てキャッチして把握するなんてことは不可能ですよね。だからこそ、私たちのような存在がしっかりと「目利き」をしてニュースとして解説を加えることが大事だと捉えています。
なるほど。あともう一つ気になったのが、「ほっこりしたニュースも伝えたい」というものです。なぜほっこりしたものを届けたいのでしょうか?
この殺伐とした世の中に、少しでもほっとした話題を届けたいという思いからですね。お金って聞くと、「何だか汚いもの」「はしたないもの」って考える方も少なくありません。そういう背景もあり、お金の記事はSNSでもシェアされにくい性質があります。ただ、本来的にお金は、私たちの生活へと非常に密接に関わっているものです。だからこそ、もうちょっと心温まるような気持ちになってほしいと思い、このような意識で記事を出しています。
PVと評価制度が直結し年4回のボーナスタイミングを実現
先ほど「1日20本程度の記事を配信している」とおっしゃっていましたが、そんな大量の記事企画を日々どのように立てているのでしょうか?
基本的には編集者一人ひとりが、これまで公開された記事にまつわるデータを分析して、読者が興味を持つテーマを探りながら企画しています。
当社では特に定量データを重視しているので、そのデータ分析から仮説を立てて記事として制作・配信し、そこからまたデータを検証して仮説を立て直すという、そんなPDCAを常に回しています。一生懸命作ったコンテンツを作って出しっぱなしにせずに、データ分析を通じて読者がどのような情報を必要としているのかを突き詰めて次の企画に生かすというサイクルです。
もちろん、データはあくまで「過去」に関する情報なので、これからの未来については編集者ごとのセンスに任せています。
編集チームにはどんなメンバーがいるのですか?
全部で5名おり、バックグラウンドは様々です。ファッション紙の編集長をやっていたメンバーがいれば、大手証券会社の営業担当経験者や金融メディアのアナリスト経験者、地方自治体の公務員年金の実務担当者だったメンバーもいます。
編集者以外にも編集者をサポートする編集支援のチームもあります。彼らのバックグラウンドは書籍の元校閲者であったり、外部の大手メディアでの執筆経験者であったりします。コンテンツに関係するメンバーということになれば編集者以外もおり、さらに人数は増えますね。
もともとメディアをやっていた人ばかりではないんですね!
そうですね。ただ共通点としては、みんな何かしらのスペシャリティ(専門性)を持っているということです。それぞれが得意とする領域を軸にして記事のテーマを深掘りしていき、必要に応じて外部の専門家をアサインしながら制作を進めています。
データ分析をしながらコンテンツも制作するとなると、相当ハードな印象です。
正確にお伝えすると、データを専門的に分析するチームが別にありまして、そのメンバーが提供する分析結果を編集者が一緒になって確認しながら、配信した記事のフィードバックや次の記事企画を考えるということをやっています。
このあたりは評価制度と密接につながっていることもあり、業務オペレーションの習慣としてしっかりと根付いています。
評価制度とつながっているとは、どういうことですか?
モニクルリサーチの編集者は、自分で発信したPVを厳格に計測して成果を「見える化」しているので、それをベースに四半期に1度ボーナスを決めるようにしています。コンテンツに関する自由度が高いからこそ、一般的な編集者としての業務以上に、マネジメントの視点を養ってもらうことを目標としています。
それは面白いですね! ただ、PVをインセンティブとして組み込むと、極端な話として人のアテンションを多く集めるために媒体として適切でないコンテンツを配信するリスクも出てくると思うのですが、その辺りはどうされているのでしょうか?
そこについてはシンプルにコンテンツに関しての「ネガティブリスト(絶対にやってほしくないリスト)」を作って共有しています。
そうした絶対に守るべき共通ルールとして持ってもらった上で、あとは各々の自分の名において自由に記事制作を進めてもらっています。
コンテンツに関する自由度が高いからこそ、一般的な編集者としての業務以上に、マネジメントの視点を養ってもらうことを目標としています。
なるほど。もう一つ、設立当初からフルリモートワークでの環境を整備されてきたと伺いましたが、どうしてそのような体制づくりにされたのでしょうか?
モニクルリサーチは私と代表の原田の2人で創業した会社なのですが、お互いに証券アナリストとしての経験から、設立当初から家にいてもできる仕事が多いよね、という話をしていました。
先ほどお伝えしたような一次情報の収集は自宅でネット環境さえあればできますし、それをもとにした分析とアウトプットについても、特段集まって話し合う必要はありません。もちろん、ここまでお伝えしているLIMOの運用についても、日々の記事コンテンツは働く場所を問わず、どこであっても問題なく制作・配信できます。
なので、そもそも勤務の必要性が低いよね、というコンセプトでフルリモートワークの勤務体系にしています。実際にLIMO以外のメディアも含む編集部全体でみると、スタッフは東京を始めとした関東地方から中部地方、また関西、中国地方に居住しながら仕事をしています。
会社設立は2013年だと思いますが、そのころはまだ今みたいなリモートワーク前提の文化が社会にはないと思います。となると、従業員の方から抵抗のようなものはなかったのでしょうか
そのころは逆に、選択肢としてのリモートワークではなく、「リモートワークでないと勤務できない」という方が積極的に入ってきた印象です。急なご家族の転勤で通勤前提だと厳しくなった人や、もともと遠隔地に居住しているような人です。
ちなみに、これは多くの会社が感じていることだと思いますが、リモートワークは「仕事の仕方が確立された人」にはとても良い仕組みだと感じています。モニクルリサーチにはそういう自律したメンバーが多いので、結果として何の問題もなく業務ができているのだと思います。
次なる目標は「情報発信に加えて課題解決も」
会社として、次はどんなことにチャレンジされる予定ですか?
メディアだけでは解決できないことを深堀していきたいですね。
長くメディアをやっていると、読者の方から「情報は分かったけど、次の一歩はどうすれば良い?」というフィードバックを多く受け取るようになってきました。つまり、あるていど正確な情報は手に入るが、それを自分ごととしてどのように活かせばよいのか分からない、という部分で多くの方が悩まれています。
情報のインプットで止まって、なかなかアウトプットにまで至らない方が多いんですね。
会社としては、そういう人たちをしっかりとサポートしてあげることも必要だと考えており、たとえばLongineを展開していた当時は「泉田塾」という名前で対面講座を行っていました。配信した記事の内容をより詳しく解説したり、個別の投資手法をレクチャーしたりしていたのです。
でも、結局講座が終わると、また新たな疑問・質問が沸いてきて、それについて個別に質問してくるという状況でした。そのような経緯もあって、もっとお金にまつわるサポート体制を充実させる必要があるなとずっと感じていました。メディアの限界を知ったわけです。
グループ会社の株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners※)は、まさにそんな背景から誕生した会社となります。ちなみに、モニクルフィナンシャルを2018年11月に設立し、軌道に乗ったため、2020年3月にLongineのサービスを終了しました。
※はたらく世代のお金の診断・相談サービス「マネイロ」を軸に、資産運用に対する課題を診断・勉強・相談(オンラインもしくは対面)でサポートする事業を展開する企業。
そうなると、事業を作るという目線を持った人が、メンバーとしては不可欠ですね。
まさに、メディアも含めてなのですが、何らかしたの事業やサービスのマネジメントができる人、つまりマネージャーを育てることを、会社の一つの目標として定めています。編集者も、中長期的にはマネージャーとしての視点を持ってもらうキャリアパスがあるということです。
だから先ほど、「編集者にもマネジメントの視点を養ってもらう」とおっしゃっていたんですね。
もちろん、キャリアパスとしては今お伝えしたようなマネージャー路線のほかに、編集者の道を極めていただくエキスパート路線も用意しています。その人の特性や意向に応じて、しっかりとキャリアを選択してもらえるようにしています。
なるほど。これからどんな人に、モニクルリサーチにジョインしてもらいたいですか?
何かしらの専門性を持った人がいいなと感じています。専門性があることによって、記事の内容に“深さ”が出てきます。なので、人柄はもちろん、過去の職歴や資格といったものもしっかりと確認させていただいています。
あとは、新しいことにチャレンジできる人であることも大事ですね。自分が過去発信していることだけではなく、たとえば人を目利きする力が備われば、専門家をアサインすることで自分のジャンルを超えて情報発信できる可能性がでてきます。そんな、ポジティブな姿勢の方にジョインして欲しいですね。
いいですね!それでは最後に、読者の皆さまにメッセージをお願いします。
モニクルリサーチでは、挑戦する人を応援しています。何かに失敗しても、それで評価が下がるということはありませんし、そもそも私たち経営陣も残念ながら失敗しまくりです。
ただ一方で、失敗してからの軌道修正はすごく早いことも特徴です。特に最近ではあらゆる情報をデータとしてほぼリアルタイムに確認できるので、軌道修正の早さは非常に大切です。
このような「修正力」をもって、うまくいかなかったことを考え合うカルチャーがモニクルリサーチには根付いているので、思考しながら走りたい方にはぴったりの環境だと思います。興味をもっていただけたら、ぜひ気軽にお話をしましょう!
一緒に働く仲間を募集しています
メディア運営を通じて、ともに読者に気づきを提供していく仲間を募集しています。
ほぼ全員がフルリモートでの環境で、柔軟な働き方を求める優秀な人材を求めています。
募集中の職種 RECRUITING JOBS
Witer
長岡 武司